Bodo Hennig氏は、おもちゃ作りで有名なエールツゲビルゲ地方の中央に位置するグルュンハインヒェンで生まれました。そこでは多くの家が木製のおもちゃ作りに携わり、卸売業者を通して多くのおもちゃが輸出されていました。幼いBodo少年が登校途中に小さな窓から覗いていたおもちゃの作業場。そんな幼少の頃から、おもちゃに心を奪われていた彼は、将来おもちゃ作りの職人になることを夢見て、思いを馳せていました。
しかし、彼の大きな夢は、第二次世界大戦によって妨げられてしまいました。職人として仕事を習得することを望んでいた若きHennig氏は、軍に召集されることになってしまいました。ただ、グルュンハインヒェンには、おもちゃ職人になるための工業大学があり必要な技術をある程度得ることができたのは幸運でした。彼が軍に服役した後、彼を待っていたのは、ソ連に占領され、破壊と困難と絶望に打ち勝とうとする母国の姿でした。こんな状況で事業を始めることは不可能だと悟った彼は、彼の夢を実現するため、1946年ババリア(旧西ドイツ)へ移る決意をしたのです。
おもちゃ作りの第一人者として知られたゲプハルトハインツ氏の指導の下、弟子入りしてたったの1年と半年で一人前の職人として認められました。
職人として2〜3年働いた後、Hennig氏は自営業という大きな課題に挑んだのです。
弱冠21才にして、ババリアのアルゴー地方にあるディートマンズリートで小さな会社を引き継ぎ、彼の父親であるウォルターHennigと6人の同僚たちと共に、アルゴーチーズ工場のチーズ用の木箱の製造を始めました。そのかたわら、暇を見つけては、「スリーキングス・クォリティトーイズ」という彼の新しい会社のために、おもちゃをデザインし、1951年には、ドールハウスの家具、小さな店、馬車や荷車などを作って、国際おもちゃ見本市に出品しました。
しかし、成功は一夜ではやってきませんでした。初期のドールハウスの家具は、上塗りのされていないパインウッドに手書きで彩色がほどこされていましたが、この種の木製家具は、戦争時の間に合わせのおもちゃのようにみられていました。当時は、ベニヤ板に、つやのないラッカーを塗ったものが求められていたのです。すぐさま、それに反応したHennig氏は、古いスタイルのおもちゃを回収し、その時代にあった手法を受け入れることにしました。そのため、金銭的に余裕がなくなってしまった会社は、売った家具の包装さえできないことがあり、会社を成功させるには、まず会社の堅実な土台作りが先決だということに気づいたのです。
1953年、Hennig氏はおもちゃ職人のマイスターとなり、その年のうちに、優秀な12名の労働力を得て、Wildpoldsriedに空家となっていた工場を購入しました(ここWildpoldsriedは、典型的なアルゴー地方で今日でも人間より牛たちが威張って生活しでいるのです)。
やがて、ドールハウスの家貝とチーズの木箱は良い市場に恵まれ、彼の会社は着実に成長していきました。初めの2〜3年、ドールハウス家具の製作はチーズの木箱作りの補助として作られていましたが、その後、すぐに軌道に乗り、25人の社員と40人の在宅社員に支えられ、新しい工場が建でられたのです。そして、これが会社にとって大きな変化となり、チーズの木箱作りを中止し、ドールハウスの家具作りの会社として会社名を「Bodo
Hennig ・ Wildpoldsried」に変更したのです。
最初のカタログは、1955年にたった4ぺ一ジで出版しましたが、現在、カタログは40ぺ一ジに渡り600種類以上のドールハウスの小物を紹介しています。今日、Bodo
Hennig社には熟練した180名の従業員が近代的な技術と職人の技を巧みに使って、世界中の顧客のためにドールハウスの家具と小物を生産しています。
※注Wildpoldsried=ウィルドポールズリード
ここから先を書くことになるとは、、、、、、
しかしながら、2002年の夏に破産宣告となりました。。。
ドイツ全体の不景気の風にさらされ、良い製品作りが優先された経営体制は続けることが出来なくなってしまいました。
2003年の夏にドイツの木製玩具メーカーnic Spiel + Art Gmbhに買い取られ、生産を再開しました。経営主軸が変わることによって、今までの製品がどう変わって行くのか私自身不安なところはありますが、あくまでもドールハウスを主軸に販売を続けて行きたいと思っています。2002年度版カタログを最後にBodo-hennig氏はウィルドポールズリードの工場からも自宅からも姿を見ることが出来なくなってしまいましたが、2002年度版カタログには彼が今までに積み上げてきた作品群が600以上も載っています。
Bodo-hennig氏の工場、作品を引き継いでいるnic Spiel + Art Gmbhに今後を期待したいと思います。
2019年、誠に残念ながらnic社はドールハウスの製造を全面的にストップしてしまいました。商品によってはドイツ在庫もなく購入することが難しくなっているものもあります。在庫がなくなり次第世界的に販売完了となります。
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