弥生時代の貫頭衣から基本は変わっていないきものは、直線構造であり、洋服の立体構造とは仕立ても着方も管理の仕方も違います。
直線構造のきものは着付けながら、自分の体に合わせてゆくことから、仕立ては標準寸法を基に、誰にでも着付けることができます。
しかしながら、この標準寸法は江戸時代のものが今日まで使われており、日本人の体格の変化と共に修正が必要になってきていると思われます。
平面的要素を維持しながらも、より自分に合った採寸により気安いきものにして行きたいと思います。
◆標準寸法
名称
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江戸時代女並寸法(寸)
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近代(cm)
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簡単な説明
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身丈
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4尺
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155-165
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身長分または身長+α
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着丈
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130-138
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身長×83/100を目安に
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裄
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1尺6寸5分
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62-66
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実寸但し布幅の関係上67ー8cm止まり
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袖丈
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長袖
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1尺3寸前後
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48-60
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身長の1/3が目安
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元禄袖
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38-50
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年齢、体型、格、好みによって
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袖口
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6寸
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23
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二の腕が見えないように小さく
かたいきものの時など広がりを調節
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袖付け
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6寸
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21-23
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振袖など帯を高く結ぶ場合は短く
付け違い:衣紋を多く抜く人や体型によって前身頃の袖付を長く、後ろ身頃を短くする。
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袖幅
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8寸5分
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32-34
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裄ー肩幅(袖幅を1-2cm広く)
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後ろ幅
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7寸5分
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28-30
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体型による
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前幅
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6寸
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23-25
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体型による
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衽幅
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4寸
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15
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体型による
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衿肩明
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2寸5分
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8.5-9
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体型による
首の太さによって
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身八ツ口
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3寸5分
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13.5-15
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体型による
太っている人は多くとった方がおはしょりを整える時に楽です。
多く取っておく方が脇の始末がしやすい
ただし、帯の下の線よりも出ないように
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肩幅
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8寸
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30-32
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裄ー袖幅
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合褄幅
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3寸5分
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13.5
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衽幅-1.5cm体型による
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衽下がり
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6寸
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23
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体型による
短くすると抱き幅が広くなり合わせ易い
調節は2cmくらいまで
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衿下
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1尺8寸
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76-82
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身長の1/2内外、腰紐から裾線を測り3-4cmひく83cm止まり
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衿幅
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ばち衿
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中心1寸5分
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5.5
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衿先2寸
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7.5
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棒衿
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5.5cm
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広衿
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11cm
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くりこし
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5分
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2-3
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体型による
肩の厚み、衣紋の抜き方によって
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標準寸法使用箇所
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◆並幅
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後幅
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前幅
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裄
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関西
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女
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8
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6
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男
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8
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6.5
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1尺8寸
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関東
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女
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7.5
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6
|
|
男
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8
|
6
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1尺7寸5分
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私!
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7.5
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6.5
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◆採寸箇所
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身長(背丈)から:身丈、着丈、衿下、袖丈
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腰廻り(身幅)から:後ろ幅、前幅、衽幅
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実寸:裄
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標準寸法:袖付け、袖口、衽下がり、身八つ口、衿幅、衿肩明、くりこし
◆割り出し方
身長から
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身丈:身長と同寸または身長+α・腰紐の高い人
・帯位置の低い人
・体型によって(いかり肩、肉付き)
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衿下:身長の約1/2内外
腰紐の位置から裾線を測り、3,4cm引いた寸法
但し、柔らかいきものと硬いきものでは裾線が違うため衿下も違って きます。
83cm以上になると裾がはだけて歩きにくいです。
また、衿先がおはしょりすれすれもしくは見えない=立ち姿が美しい
衿先がおはしょりから出ている=歩きやすい
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袖丈:身長の1/3が基準
年齢、好み、格によって調節
着て丸みのところが手で握れる程度
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きものの格
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袖の長さ
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長襦袢やコートとの兼ね合いもありますからなるべく同一にしておいた方が便利でしょう!
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ミス
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本振袖
外出
普段着
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長
中
短
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ミセス
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礼装・外出
普段
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長
短
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年配
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同一
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-
着丈:身長×83/100が標準
長襦袢:きものより1cmほど短く
雨コート:紐を締めないので、短めに
対丈のきもの:体型によって(いかり肩、肉付き)
◆腰囲から(一番太いところ)
裾で測ります。
絵羽物には注意
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前腰幅=腰囲
2 ー 6cm(左右の脇線を腰囲/2より3cmずつ前寄りで決め るための前後の差)
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全体の身幅=腰囲+前腰幅+6cm(ゆるみ)
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後ろ幅=(腰囲ー前腰幅)+ゆるみ6cm
2
ゆるみは後ろで取る。お辞儀をした時などにピンピンより多少ゆるみが合った方がきれいです。
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前幅=前腰幅 × 3
5
-
衽幅=前腰幅 × 2 前幅 :
衽幅
5 6
: 4 が美しく見える。
6 4
10 10
3 2
5 5
普通幅36cmの半幅ですので、36÷2=18cm
布幅の関係上16cm以上は前幅を広くします。
絵
着た時に上前の衿下が右脇の縫目より2〜3cm重なるくらいが良い。
◆実寸使用 裄
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手を45度に下げて背中心より手首のグリグリが隠れる程度のところまで外側を真っ直ぐに測る。
45度を中心に、やや下目と平行に真っ直ぐに伸ばした状態の3箇所で測りその平均をとっても良い。
-
着て手を下げた時、袖口止まりが手首の所に来る程度。
-
布幅の関係上68cmまでいっぱい
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肩幅と袖幅の割合の設定はなく、見た目のバランスと布幅の関係で裄を2等分、できれば袖幅を1〜2cm広く出すのが理想的です。
また、最高袖幅は33cm強、後は肩山先で、特にかたいきものの場合は袖幅が広いとカバカバする!
寸法補正として
-
腰囲が1m以上ある人は裾広がりに見えがちですので、後ろ幅、前幅を裾脇で2cm前後内側にし、腰から下の脇で自然につめます。
裾つぼまりで上品な着付けを!
-
衿肩明きにシワが出る場合
絵
-
背が高く、肥満型の方の寸法補正
袖口:24cm
袖付け:25cm
抱き幅:25cm
衿肩あき、くりこし:0.5〜0.8cm増
後幅:31cm強
前幅:26cm強
その他の寸法
名称
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長襦袢
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羽織
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袷コート(道行)
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雨コート
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身丈
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着丈
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身長1/2+4〜6内外
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身長×83/100
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羽織寸法+6〜8
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身長×83/100
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裄
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0.5増
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1増
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1増
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袖丈
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1〜2減
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同寸又は0.8減
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0.5減
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1〜2減
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袖口
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同寸
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同寸又は広袖
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同寸
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同寸
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袖付け
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1〜2増
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1減
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1.5〜2.5増
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2増
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袖幅
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0.5増
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0.5減
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1増
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1増
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袖丸み
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同寸
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同寸
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同寸
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後ろ幅
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同寸又は2減
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同寸又は2増
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同寸又は2減
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同寸又は2減
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前幅
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17
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関東4〜6増
関西いっぱい
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19
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19
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前下り
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3〜3.5
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前上り
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2
着ると後ろの帯のふくらみでとられるので平行になる
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乳下り
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肩山から32〜36
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衽幅
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衿肩明
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0.5増
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0.5減
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0.5増
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0.5増
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身八ツ口
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9.5〜10
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2増
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10
|
10
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肩幅
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同寸
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合褄幅
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衽下がり
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衿下
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衿幅
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6〜6.5
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0.2減
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道行の場合
堅衿幅15
堅衿下がり25
小衿幅1.5〜2.3
ポケット口下がり肩山から40
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堅衿幅15
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ポケット口
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13.5〜15
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まち幅
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上1.5下衿幅と同じ
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くりこし
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0.5増
着付け方によっては多く
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同寸
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1増
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1増
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備考
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袖丈は同寸の方がきものの袖丈としっかりと揃って綺麗です。
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「前下がり」
明治、大正時代には膝下まで長い丈が流行
昭和30年代は茶羽織の短い丈が流行
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きものの裾から1cmくらい長く
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